「件(くだん)」を読了した
先日、この「件(くだん)」を読んでいる途中での感想を書いて、ドタバタのB級ホラーで点数は40点とつけたところで終わっていた。この時8割方読んだところだったのが、今般、めでたくも読了できた。
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まずは点数だが、25点まで下げさせてもらうことにした。私はドタバタとかパロディそれにダジャレ、そういった類のものは嫌いではないのだが、ちょっとここまでくると「時間を返せ」(図書館で借りたので流石に金返せとは言えない)と言いたくなるような内容だった。
小説を読んだ経緯
実は、この小説を読んだ経緯(いきさつ)が、いつもとは違っていたので、そこから話をしたい。
私は根っからの貧乏症で、かついかにも大阪の人間だから、「ええもん高いのが当たり前」というか「高いんやからいいに決まってる」という考えが染みついており、テレビなんかでもどれだけ美味そうな食いもんが出てきても、値段をみて高かったら「そんなん、美味いに決まってるやん」となって、凄いとも思わないし、まず食べにもいかない。
とにかく大阪の人間にとっては、安く買うのが至高であり自慢であり羨望されることであって、いくらいいものでも高かったら馬鹿にされる。何かいいものを買って「なんぼしたん?」と聞かれた時、その答えが安ければ安いほど尊敬される。それが大阪なのだ。
今回は図書館で借りた本だからお金を払ってさえないが、そうなると今度は時間である。これもせっかちで有名な大阪人だから、時間は1秒たりとも無駄にしたくない。なので、いつもはネットで名作・良作を調べて買うのだが、そうなるとどうしてもセレクトに偏りが出たり、思わぬ快作に出会うことも無くなってしまう。
いわゆる名作と言われるものは、多くの人が認めている分、優等生的な作品になりがちで、自分だけの琴線に触れるオンリーワンには出会える確率は低い。そう、あの時の飴のように。
龍角散のどすっきり飴 ハーブ&マイルドミルク味
毎朝の通勤途上で寄ったコンビニで、なんとなく喉が痛いので飴を買った。漢方薬をベースに、ミルクを混ぜたというかなり狙ってきた商品である。白をベースにした金色に輝く神々しいデザイン。調べてみると「龍角散のどすっきり飴 ハーブ&マイルドミルク味」。間違いない。
これがあまりに美味くて毎日買っていた。そして、美味いのでみんなにわざわざ1粒あげてまで勧めるのに、一様に「まずい」と言われる。それでも私は毎日買っていた。そして陳列しているケースを見て気づいた。毎日1個ずつしか売れていない。俺しか買ってないやん…
そういうオンリーワンを狙って、今回は図書館で本を選ぶのに、全く知らない作家の聞いたこともない本を選ぼうと思い選んだのがこの「件(くだん)」だった。
(ここからはネタバレを含みます。)
面白そうな予感があったが・・・
いや、最初は面白かった。ホラーも嫌いじゃないし。草しか食わないはずの牛が血まみれになって人を喰らう。そして、古来から伝わる件(くだん)と言われる予言する牛の存在。一言主(ひとことぬし)と言われる神様に出会い、人が変わったように善政を敷く雄略天皇。
歴史・ホラー・そして伝承。これは当たりちゃう?と読み進めていくうちに、どうも登場人物がみんな軽率に脈絡なく動き出し、簡単に死んだり死ななかったりする。そしてあまり魅力的でない(あえて魅力的に書いていない?)主人公と、軽薄で考えの浅い周辺の人物たち。
こういった早くて断片的な展開がいいという人もいるし、人よりも事象やプロットを描けていればいいという人もあるだろうが、私には合わなかった。そして、駄洒落…調べてみると田中啓文という作者の得意分野らしいが、それにしても…
ただ、新・見の太郎牛でミノタウロスはワロタ。一言主(ひとことぬし)を並び替えて「ヒトコトシヌ」はちょっと…そしてラストはもう、コメディとししか思えない展開で、読むというよりは、ただ字をなぞっているだけだった。パチスロで残った2~30枚のコインをただ無くすために打っているだけ、その時と同じ状態で、ただ早く読み終わりたかった。
ちょっと辛口になったところ、言い訳ではないが、このテイストが好きだったり、作者(の作品)が好きな人にとっては、それこそ自分だけの名作という人もいるだろう。では、綺麗にまとまったところで、今日は終わり。


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