懐かしの曲
何故この本を手に取ったか正直わからないが、どこかで「乾くるみ」という作家のカタカナの題名の本がおススメに上がっていた記憶がどこかにあったからだと思う。しかし、作家や政治家にありがちな別の「漢字+ひらがな」の作家の、カタカタの題名の本と間違えている可能性もある。吉本ばななの「キッチン」みたいなね。違うか。
ページを開くと、SideAとして「愛のメモリー」他5曲とSideBとして「ルビーの指輪」他5曲、懐かしの曲が書かれている。これは各章と対応しており、SideA、Bというレコードやカセットを意識させる構成と曲のセレクトからして、一昔前を思い起こさせるような塩梅になっていると分かる。
乾くるみという作家、「イニシエーション・ラブ」という本の題名ともに名前を聞くのも初めてで、何の予備知識もないがおススメとして書かれたところを読んだ微かな記憶では、乾くるみは、一応ミステリ作家であり、本書もミステリとも言えなくはないというような事が書かれていたように思う。
早速読んでみると、読みやすいくて軽いのでサクサク進む。うまいかどうかは別として、サクサク食べられるライフのプライベートブランドのお菓子で、桜色のエビ味のふんわりした揚げ菓子のような読み心地である。初日の通勤電車の生き返りだけで半分以上読んだ。それも途中からは寝たのに。
漫画「キックオフ」を思いだす
内容はある意味、漫画「キックオフ」のようなスカスカの恋愛もので、書き込みが短い分、お互いにそこまで惹かれあうのがあまり伝わってこないが、それが恋愛でありこの本の言いたいことでもあるのかもしれない。しかし、冴えない描写がされている主人公が何故こうもモテるのか、それがいまいち分からない。
(以下「ネタバレ」ありです。ご注意を。ただ、どんでん返しや驚愕のトリックは無いし、また叙述トリックでもないから、ネタバレもくそも無い気もするが。)
あらすじ
あらすじをざっと言うと、お互いに初めての恋愛となる二人、何をしても愛おしい。そんな中、男が2年間東京へ仕事で行くことになり、長距離恋愛となる。それでも男は静岡までちょくちょく会いに戻ってきて、愛を育む。しかし、結局は東京で女とデキてしまうが、その折、静岡の彼女が妊娠する。ちょっとだけ迷って堕ろすことになる。
そして、東京の女に「静岡の女は初めての人。なのでこの恋愛は絶対と思ってしまう、でもそれは通過儀礼(イニシエーション・ラブ)であって、若くて何も知らない男女が本当の愛を理解できるはずがない。」などと言われ、そうかもねと静岡の女と別れ、東京の女とひっつく。でも、これも絶対ではないのかも…通過儀礼と思ったあの恋愛こそ、本物だったのかも…
的な話だった。私の感受性と理解度が低いからかもしれないが、それだけの話であり、トリックもオチもどんでん返しも無かった、正直、関東人がやる「オチのないつまらない話」を聞かされただけのように思った。
関西人
「先週、服を買いにいったら、すごい素敵なのがあって、値段もそこそこだったから思い切って買ったの。彼も気にいってくれて大満足。」ときて、続き(オチ)を待っているとそれで終わり。「これで終わり?何の話やねん。何が面白いねん。」と、関西人なら全員が思うところ。
「ただな、次の店行ったら半額で売っててん。」とか「次の日のデートに来ていったら、電車で隣が色違い着てるがな。並んで座ったら売れへん姉妹漫才師みたいやがな。」とか、嘘でもいいから話を盛れと言いたくなる。それにこれでこそ「あんた、彼氏なんかおらんがな。」とかのツッコミもできるっちゅうもんや。
ただ、実は静岡の女の方も浮気してました。という含みはあるのかもしれない。何故なら「妊娠した?本当に俺の子か?」とか「ちゃんと避妊していたのに」という記述もあるから。それでも男が問い詰めることなく信じては疑わなかったのは、女に対する信頼や浮気している後ろめたさがあってのことで。そして、実はそれを見越して静岡の女が利用したとか。
採点・・・
スマホの無い時代の恋愛を描いており、そのあたりは「ああ、そうそう。懐かしい~」みたいな世代にはウケる要素はあるかもしれないが、それも「あるある」に毛の生えた程度であり、小説で読んでお腹が膨れるまでには至らなかった。最後に採点を…35点。もうちょっとちゃんと調べて、次は乾くるみのミステリを読んでみたい。(あるんか?)


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