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道尾秀介の「ソロモンの犬」を読んだ。

小説

道尾秀介とは

始めて読む作家の作品であるというか、恥ずかしながら名前も知らなかった。ネットで調べてみると映画化(2012年「カラスの親指」主演、阿部寛)やドラマ化(2010年「月の恋人〜Moon Lovers〜」主演、木村拓哉)(2012年「背の眼」主演、渡部篤郎)された作品もあり、2011年には「月と蟹」で直木賞も受賞している。

それに「このミステリーがすごい!」や「週刊文春ミステリーベスト10」において毎年のように上位にランクインされており、「このミス」2007年では「シャドウ」で3位、「文春のベスト10」でも「ラットマン」が4位になっているように、ただランクインしているというだけでなく、かなりの上位に位置している。

代表作は2005年「向日葵の咲かない夏」(道尾秀介の名を広く知らしめた出世作)、 2011年「月と蟹」(直木賞受賞)、2009年「カラスの親指」(日本推理作家協会賞受賞)、2010年「龍神の雨」(大藪春彦賞受賞)、2010年「光媒の花」(山本周五郎賞受賞)というとこらしい。

ミステリー、ホラー、ヒューマンドラマを手掛け、ジャンルを横断する作風が魅力で、「叙述トリックを駆使した驚きのどんでん返し」と「独特の世界観」が特徴のミステリー・ホラー・人情系小説を得意とする作家らしい。「特に叙述トリックを用いた大どんでん返しが売りで、読者は最後まで予想できない展開に驚かされます。」ということだ。

ソロモンの犬

私が今回読んだ「ソロモンの犬」は、どこにも挙がっていないが、最初に読む作品としてこれで良かったのだろうか。では、何故これを選んだのかと言うと、まずはいつもどおり youtube で見た「おすすめ小説」に入っていたのと、犬が制服みたいなのを着ている表紙につられたのが実のところ。

作者はシリーズ物も多く手掛けているようようで、真備シリーズ(ホラー)、花シリーズ(花がモチーフ)、神シリーズ(神がテーマ)、いけないシリーズ(題名が「○○してはいけない」となっている)などがあるなか、この「ソロモンの犬」は、「片眼の猿」「ラットマン」「カラス(=鳥)の親指」「龍神の雨」「球体の蛇」「鬼(牛+虎)の跫音」などと併せて「十二支シリーズ」と言われているらしい。

ただ、これはあくまで偶然であり、作者は意図しておらず足りていない十二支を充足させて完成するつもりも無いという。さて、この「ソロモンの犬」だが、道尾作品における「青春三部作」の真ん中に位置する作品で、「青春ミステリ」などと言われているようだ。

その類の作品は読んだことが無いし、30年以上もの大昔に青春時代を卒業した(そもそも大学にも行ってない)私がどれだけ共感できるのか疑問である。それに私の青春時代は、麻雀とパチンコがメインで恋愛など遠い世界の話だったのだが、大丈夫なのだろうか。まさか、この小説が犬と麻雀する小説でもあるまいし。

【あらすじ】秋内、京也、ひろ子、智佳たち大学生4人が過ごす夏に訪れた、幼い友・陽介の死。飼い犬に引きずられた事故。現場での友人たちの動きや言動に疑問を感じた秋内は、動物の生態に詳しい間宮助教授に相談する。陽介の死は事故なのか、殺人なのか。そして犯人は自分たちのうちの誰かなのか・・・

感想と評価

【以下ネタバレを含みますので、注意してください】

飼い犬である「オービー」が突然走り出したのは偶然なのか、誰かが意図して起こしたものなのか。そして、それが意図されたものだった場合、誰が犯人でその動機は何かというのがメインの謎であると思う。それについては、納得のいく結末が用意されているし、なるほどとは思わせるのだが、人間関係が「ミスリード」なのか「青春のもどかしさ」なのかがハッキリしないのを少し感じた。

ここらへんがややこしいところで、登場人物の言動や動きが「犯人であるが故のものか」「若さゆえの揺れ動き」なのか、どっちとも読み取れてしまうのが残念だった。もし、それが狙いだったとしても私は少しこの「青春要素」が邪魔をしてモヤモヤが残った。やはり私に青春小説は早すぎた(遅すぎた?)のかもしれない。

叙述系の騙しや伏線回収、主人公の生死、言葉遊び的なものなど、全てが上手いし巧妙にできている。小説としての構想というか、組み立てが非常によくできている。登場人物のキャラクターも魅力的で、会話も軽妙でテンポが良い。ただ、やっぱりちょっと中二病的であったり、あまりにもどかしかったりなのが私には合わなかった。

夢オチのようで夢オチでないところもいいし、現に人は亡くなっているのだが、ハッピーエンドとまでは言えなくともバッドエンドでは無い結末。最後に間宮教授が説得するあたりは、一番スリリングで面白かった。それでは評価をしたい。点数をつけるなら、67点。良作とは思うのだが、もっとストレートでもいいような気がする。

最後に共感したレビューを少し。「著者得意の伏線散りばめ全部回収凄いだろという小説」「とってつけたかのような伏線など、無理筋な展開は嫌いではないが、いまいち感情移入できなかったのは残念」「久し振りに伏線の巧みさに触れました。ただ人間関係を隠し複雑にする展開は、読み手の勇み足を誘うようで狡いかも(笑)」作者の別の作品はいずれ読むつもり。それに期待。

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