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ちばてつやの「おれは鉄平」の感想

マンガ

ちばてつや

私の「生涯読んできた漫画のベスト3」に必ず入る名作「あしたのジョー」の作者である「ちばてつや」。ちばてつやの作品には他にも「ハリスの旋風」「あした天気になあれ」「のたり松太郎」など、名作と言われる作品が沢山あるが、実は「あした天気になあれ」以外は読んだことが無い。

そもそも「ちかいの魔球」「紫電改のタカ」「ハリスの旋風」などは、私が生まれる前に連載されていた作品であり、読んでないのも仕方ないことではある。とはいっても、手塚治虫の初期作品などは単行本を探して読んでいるので、ちばてつやに関してはそこまでして読もうとまでは思えなかったということなのだろう。

ひとつには、リアルタイムで読んでいた「あした天気になあれ」を懐かしさから単行本で読んだ時、思ったより心に響かなかったということが理由かもしれない。これは「おれは鉄平」の主人公「上杉鉄平」にも言えることだが、「あした天気になあれ」の主人公「向太陽」のキャラクターが好きになれなかったことが大きい。

しかし、本当なら「型にはまらず破天荒だが魅力的・人間的なキャラクター」の造形が素晴らしく、「キャラクターがストーリーを創る作劇方法を確立させた」とまで言われる「ちばてつや」によって描かれた主人公が好きになれないというのは何故なのだろうか。

私が変人という可能性もありそれはそれで否定しないが、悟空だってラオウだって大好きだから、そこまで私が標準的な人間と違いがあるとも思えない。これはおそらく「時代」がそうさせたものだと思う。昔なら許されるどころか好かれることもあった「不遜な王様キャラ」が、今では嫌悪の対象となっているというそれだ。

時代は変わる

芸能人に品行方正を求め、法令遵守が第一の命題となった(これは当たり前か)昨今、破天荒型のキャラはいなくなってしまった。横山やすし、勝新太郎・・・当時は世間から許され愛されていたが、今、同じような人物が出てきたら、画面には出てこれないだろうし国民からの嫌悪感も強かろう。

このあたりは本当に不思議なところだが、ついこないだの20年ほど前まで歩き煙草してはポイ捨てしていたくせに、今、同じことを目撃するととてつもない嫌悪感が働く。といってもこれは私だけではなく、みんな同じじゃないだろうか。「時代」は、人をこうもまで変えてしまうものなのだ。

「おれは鉄平」の主人公「上杉鉄平」は、型にはめられることを嫌い規則を守らず、相手に対する思いやりは全くと言っていいほどない。それがウケたのだろうし、むしろそれが狙いだったようだ。当時は「塾通いとテレビ」の子供が目立つようになり、規則がらめで画一的な社会だったが、それに対するアンチテーゼもあったという。

しかし、そんな「痛快マンガ」を今読むと「イタい」のだ。どうしても主人公がイタい人間に見えて痛快どころか不快なのだ。「あした天気になあれ」の主人公「向太陽」も同じ。こちらはご存じのとおりゴルフ漫画なのだが、今実在のゴルファーが彼のような言動をしたら「大炎上」して嫌われることだろう。

昔はスポーツ界隈に一定数の「ビッグマウス」な「異端児」がおり、特にそれが若者の場合、皆暖かく見守っていたものだが、今はそうはいかない。元より芸能人やスポーツ選手に品行方正を求めていない私でさえ、嫌悪感が強く見ておれない。

おれは鉄平の評価と採点

まだ読んでいる途中(文庫版12巻のうち5巻まで)なので評価していいのかどうかも微妙だが、この先、大きな変更はなさそうなので大丈夫としよう。ちなみに、「あした天気になあれ」の主人公「向太陽」は当初「計算高く、金にシビア」なキャラだったのが、途中からマスコット的なおちゃめなキャラに変わっている。

それが成功したのかどうかは分からないが、私はその点も違和感があった。ただ、「美味しんぼ」などは山岡士郎も栗田ゆう子も海原雄山も、見た目はふっくら中身は穏やかになったが、特に違和感や嫌悪感が無かったので、それが全て悪いとは思わな
い。

さて、「おれは鉄平」だが、父子が実家に戻るあたりは面白くワクワクし、剣道を始めて最初のライバル校との決戦あたりは良かったが、相手高校に入学するくだりあたり(入学させようと酒・煙草を解禁し歓待するあたり)から、私は一気につまらなくなった。リアルタイムなら面白く読めたのだろうか。採点は・・・58点。

と私の評価は低めになってしまったが、「Dr.スランプ」「ドラゴンボール」を担当し「少年ジャンプ」伝説の編集長となった鳥嶋和彦が、参考にして繰り返し読み、そのコマ割りなどを新人漫画家の指導に応用していたという、それほど「読みやすく」「人気がある」漫画である。

ちなみに、私は見ていないがアニメ版「おれは鉄平」の主人公「上杉鉄平」の声は、悟空と同じ野沢雅子だという。それだけは見てみたい。

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