スピリッツの全盛期
若い頃(20~30代)は週刊誌(漫画)を沢山読んでいた。なかでもビッグコミックスピリッツが大好きで、スペリオールだったりヤンマガとかヤンジャンなど若人を対象とした雑誌は数あれど、私はスピリッツとモーニングだけを読んでいて、他はジャンプ、マガジン、サンデーを読んでいるお子ちゃまだった。
モーニングを読んでいたのは、パチンカー御用達の「パチンコ・ドンキホーテ」を読むためだったが、スピリッツはどれのためと言えないほど、好きな漫画・好きなコーナーだらけだった。
「美味しんぼ」(花咲アキラ、雁屋哲)「軽井沢シンドローム」(たがみよしひさ)「20世紀少年」(浦沢直樹)「めぞん一刻」(高橋留美子)あたりの有名どころから、「闇金ウシジマくん」(真鍋昌平)「ピンポン」(松本大洋)「七夕の国」(岩明均)「神の左手悪魔の右手」(楳図かずお)などの名作だけではなく、
コージ苑(相原コージ)、伝染(うつ)るんです。(吉田戦車)、クマのプー太郎(中川いさみ)などの4コマ、それに、気まぐれコンセプト(ホイチョイプロダクションズ)、神のちから(さくらももこ)、ぼくんち(西原理恵子)、団地ともお(小田扉)のような一風変わった企画や漫画も多かった。
前衛的なパロディ漫画「サルまん」
ビッグコミック系では、対象年齢が最も低いということのあってか前衛的なところがあり、本気かどうか分からないような謎の漫画も多かった。そのなかでもほぼ伝説となっている「サルでも描けるまんが教室」、これが私は大好きだった。
作者は「コージ苑」の相原コージと、この時私は初見だった竹熊健太郎。今でもこの作品以外ではお目にかかれないが、この竹熊健太郎というのは、漫画原作者であり漫画評論家だという。しかも、いしかわじゅんと並ぶ数少ない「売れた実績のある漫画評論家」らしい。
この「サルでも描けるまんが教室」、通称「サルまん」は、作者を模した2人の青年漫画家の成長を「漫画の入門書」として描いているが、実質は漫画評論である。例えば「ウケるまんがの傾向の研究」では、パロディという形でありがちなパターンをとりあげている。
「ウケるまんがの傾向の研究」
強い奴のインフレ
バトル漫画ではどんどん敵が強くなり、連載が長引くほど作者がもてあますほど強くなって困る。
少女まんがにおける出会い演出
食パンを咥えて「ちこくちこく」と走るヒロインが、曲がり角で少年とぶつかる。実は、その少年はヒロインのクラスの転校生だった。
庶民の良識
風刺まんがにおける庶民の良識とは、「権力は悪い」「昔はよかった」の2種類しかない。
イヤボーンの法則
ヒロインがピンチに陥り「イヤッ!」と叫ぶと眠っていた「能力」が覚醒、敵の頭が「ボーン」と爆発する。
このほかに、一発ギャグ「ちんぴょろすぽーん!」など、この漫画が初出だったり、ネットミームになっているものも多い。漫画を描く人が「マンガ家入門」(石ノ森章太郎)を必ず買うように、漫画好きなら必携・必読の名著だと思う。
歴史に残る迷作
ただ、絵柄を受け付けない人も多いのが難点。Yahoo知恵袋で【(グロ注意)この画像の漫画を教えてください。2ちゃんでよく、目にします。】というのがこの「サルまん」のページだったこともあるし、絵柄が好きで読めなかったという人の話はネット上でも多い。
ただ、絵柄を超えた面白さがあるので、最初はちょっと我慢して慣れてほしい。私も無人島に持っていく10冊のうち3冊(No.1~3)をこれにしようかと思ってやっぱりすぐ止めたくらい、思い入れのある作品である。是非!


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