超のつく名曲
2018年に公開され、世界的なヒットとなり好評を博した映画「ボヘミアン・ラプソディ」を観た。クイーンのリードシンガーであるフレディー・マーキュリーの伝記映画であり、題名の「ボヘミアン・ラプソディ」はフレディーが作詞・作曲したロックの金字塔たる超名曲の題名である。
洋楽が好きな私が、最初いつ頃聴いたのかはもう忘れたが、初めて聞いた長尺のロックで、今までに聴いてきたのとは違った構成の曲でもあり、「ガリレオ、ガリレオ」あたりでは「何じゃこりゃ」と思ったものだが、さてそれから一体何度聴いたことか、やはり掛け値なしの名曲だと思う。
映画でも出てくるが、やはり当時はその長さからシングルカットに適さないと思われていたという。ヒットするはずがないという会社側の思惑をよそに、全英シングルチャートで9週にわたって1位を獲得する大ヒットとなった。
その長さに触発されたのか、私はそこから長尺の名曲と言われるものを色々と聞きだして、そこから派生してプログレにハマったりもしていた。そこで、エマーソン・レイク・アンド・パーマーの「タルカス」(20分)やイエスの「CLOSE TO THE EDGE」(18分)などは特別として、少し長尺の名曲を調べてみた。
21世紀のスキッツォイド・マン(精神異常者) キング・クリムゾン 7分20秒
いとしのレイラ デレク・アンド・ザ・ドミノス 7分2秒~11秒
ヘイ・ジュード ビートルズ 7分11秒
Master of Puppets(メタル・マスター) メタリカ 8分36秒
天国への階段 レッド・ツェッペリン 8分00秒
ラウンドアバウト イエス 8分29秒
思ったより短い
いずれも大作にして名作。その頂点に立つと言ってもいい「ボヘミアン・ラプソディ」だが、その長さは5分55秒というから、思いのほか短い。それだけ濃密ということだろう。これだけの曲を書いて、歌う、やはりフレディー・マーキュリーは天才だが、いかにも天才といった典型的な生き方だ。
天衣無縫なバイセクシャルで、ドラッグに乱交パーティー。そんな生活がたたり、エイズを発症し寿命を縮めたのは間違いないが、これだけの才能を天から与えられた反動なのかもしれない。
さて、映画の方はというと、第91回アカデミー賞で作品賞を含む5部門にノミネートされ、主演男優賞、編集賞、録音賞、音響編集賞の最多4冠を取るという大成功で、観客からの評価も高く、リピーターも多いという。
ただ良いもの
一方、批評家のほうは「既往の音楽映画をなぞったような凡庸なストーリー」「単純化されたフレディの描写」「脚本の欠点は音楽が埋めてくれる」などと批判が多いが、観客からの高い評価こそが正当な評価だと思う。
音楽もそうだが、「よくできている」ものや「よく考えられてる」などを俺たちは求めているのではなく、「ただかっこいい」「気持ちいい」「楽しい」ものを求めているのだから。私もこの「ボヘミアン・ラプソディ」はただただ良かった。もう一度観たいと思った。
私は洋楽を聴くのにあまりそのバックボーンは気にならないというか興味はなく、音楽そのものが良ければそれでいいのだが、流石にクイーンくらいになると色々と情報は知っており、映画で初めて知ったということは少なく、そこは「クイーンの曲は2~3曲聴いたことがある。」という人とは感想は違ってくると思う。
観た人の感想を見てみると、フレディー・マーキュリーが両性愛者であることさえ知らなかったという人も多く、そういう人は「なるほど」「へえ」ということもあり、より深く映画を味わうこともできたようだ。
私は既に述べたように、知っている事も多く、映画でその知識をトレースするだけであったが、この映画の真価はやはり音楽である。基本的には音源はフレディーが歌ったものを使っているようだが、一部、役者であるラミ・マレックが歌っているものもあるようだ。
圧巻のシーン
最後のライブ・エイドのシーンは圧巻で、流石にクイーンのメンバーであるブライアン・メイとロジャー・テイラーが音楽総指揮を務めているだけはある。音声はフレディー本人のもの、演ずるラミ・マレックのもの、マーク・マーテルというクイーンの公式コピーバンドである「クイーン・エクストラヴァガンザ」のボーカルのものをミックスしているという。
インドで生まれ育ったという出自や、当時はまだ白い目で見られた性的マイノリティの問題、バンドメンバーとの確執や理解などのテーマもあり、音楽がいいとはいえそれだけの映画でもない。もう一度観たいと言ったが、まずはもう一度かけて聴いてみたい。
ただ、かけてしまうと絶対に観てしまうだろう。いい映画でした。洋楽好きな人にも、そうでない人にもお勧めです。80点。


コメント