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吉村昭の「破獄」を読んでいる途中での書評的なにか

小説

記録文学の第一人者

太宰治賞を受賞した「星への旅」や映画化された「桜田門外ノ変」などの歴史小説など、多岐にわたる分野において活躍した小説家の吉村昭だが、やはり「戦艦武蔵」や「関東大震災」などの記録文学における第一人者としての評価が最も高い作家である。

その作品は、史実と証言を徹底的に取材した上で膨大な資料との検証・調査を加えたもので、フィクションを極力避けて事実を正確に伝えることを心がけしていたようだが、「ふぉん・しいほるとの娘」のように創作部分が多く、フィクション本と認識されているものも一部存在する。

私が最初に読んだ氏の作品は「熊嵐(くまあらし)」という、「Wikipediaで読み応えのある記事」として必ず挙げられる事件として有名な「三毛別羆事件(さんけべつひぐまじけん)」を基にしたフィクションである。

三毛別羆事件(さんけべつひぐまじけん)とは、1915年(大正4年)、北海道苫前郡苫前村三毛別(現在の苫前町三渓)六線沢で発生した、エゾヒグマが開拓民の集落を二度にわたって襲撃し、死者7人・負傷者3人という大きな被害を出した熊害事件である。なお、当該クマは、猟師により射殺されている。

そもそも私がその小説を読んだのが、当該Wikipediaの記事を読んで興味を持ったからだが、この「熊嵐」が読み応え抜群で、内容が濃いにもかかわらず、あっという間に読み終えてしまった。事実も相当怖いのだが、小説も怖い。淡々と書かれているのが逆に恐怖を誘う。

「昭和の脱獄王」白鳥由栄

そして、今回私が読む2冊目の吉村昭の作品となる「破獄」を読んでみた。こちらも事実を基に書かれた作品で、4度の脱獄を繰り返した実在の受刑者である「昭和の脱獄王」白鳥由栄を描いている。なお、この白鳥由栄は「ゴールデンカムイ」の「脱糞王」白石由竹のモデルである。

ゴールデンカムイも白石も大好きで、Wikipedia「白鳥由栄」の項目も既に読んでいるところは「熊嵐」の時と同じだし、その「熊嵐」はものすごく良かった。よって否が応でもこの「破獄」には期待したのだが、どうもページをめくる手が進まない。

この後どんなもんなのか気になって、そもそも実在の話だし、Wikipediaも読んでいるから「ネタバレ」もくそもないだろうと、読了前にネットで書評らしきものをいくつか読んでみた。

評価と採点

すると評価するものも多いところ、一方では「読むのにとても時間がかかりました」とか「散漫だ。こんなに取材したんだと言いたくて書かなくていいことまで詰め込んでいる。だから話に芯がなくぼやける。吉村くんの悪癖だ。ここまで題材に頼りきったものを作品と呼べるのか。」などと辛辣なものまである。

そして、「ちょっと歴史背景がしつこい感じで、もう少しコンパクトになったほうが、読み物としては面白いと思いました。」という、私の気持ちを代弁するような書き込みがあった。

確かに、「戦時の刑務所における囚人の扱い」や「看守と囚人との人間関係や食糧事情」は、なるほどと思わせるところもありながら、読み物としては単調で、さらに「〇〇島が陥落」とか「爆撃機〇機を撃墜」など戦争の状況に関する記載が多く、読みづらい。これが巷間でいわれる「吉村の悪癖」なのだろうか。

もう半分は読んでおり最後まで頑張って読むつもりだが、フィクションだしWikipediaで大まかな内容も知っているから、ここからどんでん返しがあったり急展開を迎えることもないのは分かっているので、まだまだ辛そうな気配はある。

「熊嵐」は90点つけたいほど良かったが、この「破獄」は…いまのところ60点!

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