完璧な終わり方をした漫画
漫画の名作ベストテンとか、完璧な終わり方をした漫画などといった場合に必ず名前の出る漫画、それが「鋼の錬金術師」である。単行本にして全26巻という長さもいい。スチームパンクといわれる、文明的には蒸気(スチーム)機関車の時代・世界を舞台とした「錬金術」がメインとなる話である。
そもそも錬金術とは中世のヨーロッパで盛んだった「金(きん)」を作る技術で、もちろん今となってはそれは不可能と分かっている時代遅れの科学である。よって、今や誰も信じていないエセ科学であり、忘れられた存在ではあるが、小さな元手から大金を生み出すという、「カネ」のほうの金を生み出す「錬金術」という言葉は今でもアチコチで見かける。
もちろん、それも金(きん)を生み出すのと同じく不可能なのだが、金(かね)を生み出す錬金術はまるで実在するかのように語られ、騙される人もまだまだいるようだ。ちなみに、かくいう私も「博奕で大金持ちになる」という錬金術を信じて(セルフで)騙された人間の一人である。
「等価交換」と「人体錬成」
「鋼の錬金術師」(ハガレン)の世界での錬金術は「等価交換」という原則があり、元の材料以上の物を作ることはできない。例えば、大きさでいうと小さなサイコロからお城を作るのは無理で、また、水から金属を生み出すような、性質の全く違うものを錬金することもできない。
そして、「人体錬成」という、死んだ人間を生き返らせることはできないし、錬金術師がこれを行うのは禁忌(タブー)とされている。ハガレンを読んだことが無い人でも、赤いマントのチビの横にいる鎧(ヨロイ)の男は見たことがあるのでは?それこそ人体錬成という禁忌を犯したせいで身体を持っていかれ、魂だけがヨロイに定着された男の姿である。
私は今回で5回目くらいの読了だろうか。今さら私が言うまでもないが、本当によくできた、そして面白くて感動する名作である。感心するだけ、面白いだけという漫画は多いが、その両方を兼ね備えている数少ない漫画である。なので、ライトな読み手もコアな読み手も満足できる、誰にもおすすめできる作品である。
また、登場人物は敵味方ともかなり多いのだが、その全てが魅力的と言っていい。ちなみに私が好きなキャラは、マスタング、アームストロング(マッチョの方)の両名である。登場人物の名前が兵器から取られているのは有名だが、それでいて作者が女性と言うのも驚いた。ちなみに、私は兵器マニアでも何でもないが、ゲーム「大戦略」をやっていたので兵器名なのは気づいていた。
評価と採点
読んだことが無いという人は絶対読んだほうがいい。というか、読んでない人が羨ましい。このレベルの漫画にはそうそう出会わないので。絵も上手く人を選ばない。そして戦闘シーンもきっちり誰がどうなっているか分かる。これもおすすめポイントのひとつ。
絵が読みにくかったり、動きが分かりにくい漫画は、せっかく面白いのに敬遠されたり、読むのを途中でやめてしまうこともあるから。その点でもハガレンは誰にもおすすめできる。また、連載当初と最終回での絵柄の変化も少ない。まるで違う漫画もあるから。
定期的に読み返したくなるから、きっと数年後にまた読むことになると思う。そして、分かっていてもまた同じところで泣くんだろう。最後に一応、点数をつけよう。98点。


コメント